メンバー紹介 |
福島子ども健康プロジェクトのメンバーは、以下の11名です。
牛島 佳代 (うしじま かよ) 福岡大学医学部 講師
私は、これまで20年間余、水俣病による健康不安を持った方が安心して暮らすための方途を「心の健康」の観点から模索してきました。今回の原発災害は、水俣病にかかわってきた私にとって、他人ごとに思えない出来事でした。新聞報道や本を読むと、水俣病を経験している不知火海の集落で見てきたことと同じようなことが福島でも起こっている(あるいは起こりそう)だからです。それと同時に、私にも3歳になったばかりの女の双子がいます。日頃、子どもと接しながら、もし、この子達が福島に住んでいたら、外遊びや食事はどうしていただろうと思いを巡らすときがあります。そう考えると、福島のお母さん達がどんなに不安を抱えながら子育てをされているだろうかと思います。これから福島の子どもとお母さんの生活と健康を継続的に記録し、定期的に健康相談会やワークショップなどを開催することによって、福島の母子が安心して暮らしていける環境づくりにかかわっていきたいと考えています。
成 元哲 (そん うぉんちょる) 中京大学現代社会学部 教授
私の出身は韓国ですが、1990年代初めに日本の公害・環境問題を勉強するために来日し、20年が過ぎました。日本で最初に見学したのが青森県六ヶ所村の核燃料サイクル施設でした。また最初の本格的な現地調査も原発建設の是非を問う新潟県巻町(現、新潟市)の住民投票運動でした。東日本大震災後は、ゼミの学生とともに、震災ボランティアとして気仙沼市や石巻市などに行き、避難所の清掃や仮設住宅への引越しなどをお手伝いしました。今は3歳になった双子のイクメンをしていることから、原発事故後、放射能への不安が広がる中で、小さなお子さんを持つお母さんの苦悩やストレスを軽減するための調査研究と健康相談会を行うために、これまで水俣病の研究をしてきた研究仲間と震災関連で参加型のアクションリサーチを続けてきた研究仲間に呼びかけて、「福島子ども健康プロジェクト」を立ち上げました。
松谷 満 (まつたに みつる) 中京大学現代社会学部 准教授
私は福島県原町市(現南相馬市)出身です。中学から高校までは福島市で過ごしました。実家は現在も福島市の渡利にあります。正直なところ、私はそこまで「地元愛」の強い人間ではありません。福島を離れてからもう20年も経ちました。ですが、今回の原発事故により、家族や親せきだけでなく、昔の友人・知人たちはこの状況のなかでどうしているのだろうか、と思いをはせることが多くなりました。自分とかかわりのあった方々が、見えない不安に苦しんでいる現状のなかで、何かしなければという思いを強くし、今回の調査プロジェクトに参加しました。
永幡幸司 (ながはた こうじ) 福島大学共生システム理工学類 准教授
私は福島市に住んでいます。二人の子の父親です。2004年に新潟県で中越地震が起こったとき、福島大学行政社会学部で社会福祉を学ぶ学生たちと担当教員が中心となって立ち上げた福島大学震災ボランティア組織に加わり、当時の山古志村で支援活動に加わりました。その後2007年の中越沖地震のときにも、福島大学震災ボランティアの一人として現地に行き、避難所運営の支援活動を行いました。今回、2011年3月に起こった東日本大震災のときは、これまでの支援活動の経験を活かし,南相馬などから避難してこられた皆様を受け入れるべく、福島大学の体育館に設置された避難所の運営に携わりました。また、放射線の健康影響について慎重である(すなわち,安全であると言い切ることは危険であると考えている)仲間たちと共に,福島大学原発災害支援フォーラム(FGF)を結成し,福島県知事へ要望書を提出するなどの活動も行っています。
高木 竜輔 (たかぎ りょうすけ) いわき明星大学人文学部 准教授
私は元々、島根県出身ですが、2008年にいわき明星大学に着任し、ちょうど3年目が終わる頃、今回の震災に遭いました。その後、ご縁があって、いわきの子育て団体とかかわっています。そのなかで、震災後にいわきのお母さんたちのおかれた状況や生活上の諸問題に関して、いろいろお話を聞く機会がありました。いわきの街が日常を取り戻そうとするなかでも、子どもの事を心配するお母さんの悩みは今も続いていることを痛感しています。「福島子ども健康プロジェクト」の調査や相談会などの活動にかかわる中で、福島のお母さんたちが抱えている悩みや生活上の問題を少しでも和らげることに役立つことができればと考えています。特に、福島県内の大学に勤めていますので、その場限りのイベントでなく、継続的に福島の子どもとお母さんたちにかかわり、子どもたちが元気に成長する、また、お母さんたちが震災や原発事故の影響を少しでも軽減できるような活動をしていきたいと考えています。
田中 美加 (たなか みか) 東海大学健康科学部 准教授
私の出身は福岡県で,中学生と大学生の2児の母です.今回の「福島こども健康プロジェクト」には,研究としての意義の大きさのみならず,被災された子ども達やお母さん方のためにできることを探したいという子どもを持つ母親としての気持ちから参加いたしました.これまで,様々な国々で子ども達と会ってきましたが,貧しい国も豊かな国も子ども達の笑顔は同じです.世界中どの国においても,素直に屈託なく笑う子ども達はかけがえのない宝です.「福島こども健康プロジェクト」が少しでも福島の子ども達とお母さんのためになるよう力を尽くしたいと思います.専門は地域保健,公衆衛生看護,環境保健,国際保健.これまでの主な研究テーマは「人々の健康と環境要因との関連に関する国際的研究」や「認知行動療法を用いた睡眠保健指導の効果に関する研究」などです.
阪口 祐介 (さかぐち ゆうすけ) 桃山学院大学社会学部 講師
私は奈良県の出身で、大学や就職先も大阪でしたので、ずっと関西で暮らしてきました。大学院から現在まで、犯罪被害や失業、環境汚染といったさまざまなリスクに対する人々の不安感について調査研究を行い、どのようにすれば人々の不安を和らげる社会環境を作ることが出来るのかについて考えてきました。そこで学んだことを活かして、福島で暮らすお母さんの不安を減らすことに少しでも役に立ちたいと思ったのが、このプロジェクトに参加しようと考えた動機です。それに加えて、昨年、初めての子どもが生まれ、子育てを体験したことも影響しています。日々の生活において、これまでは気にしなかったような些細なことでもとても気になり、時として不安になるということを初めて体験しました。小さな子どもを持つ父親として、福島で暮らすお母さんの少しでもお役に立てればと考えています。
相田 潤 (あいだ じゅん) 東北大学医学部 准教授
私は、宮城県仙台市に住んでいます。6歳の子どもの父です。震災後は、子どもの健康のことを、研究者としてではなく、一家庭人として考える機会が増えました。研究者としては、これまで地域の社会的な環境が健康に与える影響を研究してきました。そのことがあり、今回福島子ども健康プロジェクトに参加させていただく機会をいただきました。さまざまな情報が飛び交う中で、科学的にも客観的で、実際に住まわれて子育てをされる方々にお役に立てるような、そして私自身と家族も納得できるような、研究と情報の発信をしていきたいと考えています。
これまでの主な活動は、国際歯科保健活動としてバングラデシュに行かせていただいたり、健康とその地域や集団による格差の研究、人々のつながりから生み出される資源であるソーシャルキャピタルと健康の研究、そして東日本大震災後の健康の研究をさせていただいたりしています。被災者の方々の回復のお役に立てるよう努力してまいりたいと思います。
井上 美紀 (いのうえ みき) 福岡大学医学部 事務局スタッフ
平成25年2月~プロジェクトのお手伝いをしています。私は長崎県出身で被爆二世です。そして、小学校1年生の娘がいます。震災以来、自分に何か出来ることはないかと模索していたところに、事務局スタッフとしてのお話をいただきました。同じ母親として、寄せられたアンケートの内容を丁寧に読ませていただき、いろいろな思いで子育てをされているお母さん方のお言葉をしっかりと記録に残すお手伝いをしていきたいと思います。
吉原 由樹 (よしはら ゆき) 福岡大学医学部 事務局スタッフ
あの原発事故からもうすぐ3年が経とうとしています。震災直後と比べると福島の原発関連のニュースや特集は、九州でも明らかに減りました。昨年の調査での皆さんからのお声は、テレビや新聞では伝わってこない現状ばかり・・・。とてもショックを受けました。私も小学生の子ども育児真っ最中ですが、我が子の将来の健康や幸せを祈らない親はいません。いつも一人の母親としての目線をもちながらお手伝いをさせていただいております。